長らく、翻訳会社に勤務していたため、今回は、翻訳会社の裏側を暴いてみたい
と思う。 日本の翻訳会社は、大きく分けて、DTP中心の翻訳会社と、翻訳を中心に
している翻訳会社に大別出来る。

DTP中心の翻訳会社とは、大まかに言うと、単なる印刷会社で、翻訳の中身は
特に重要視されず、主に、見た目のみで勝負していると言ったら分かりやすい
だろうか。

一方、翻訳を中心にしている翻訳会社とは、正に、翻訳の質で勝負をしている
訳だが、わがままなクライアントが多い日本では、DTP作業が必須となっている
ため、このタイプの翻訳会社は、
敬遠されやすい。



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この結果として、日本の翻訳会社は、どのようになったかと言うと、翻訳の質は全く
問われず、
単に中身が入っていれば、それでOKと言うような状態となった。 更に、
最近では、その翻訳の殆どを中国やインド等の海外に丸投げしているため、実際に、
日本国内で、翻訳の中身をチェックしている会社は、ほぼない。 むしろ、中身は
見るなと言われる翻訳会社が殆どで、それに嫌気がさして、翻訳コーディネーターは、
概ね、1~2年もすると、皆退職してしまうのが
実情。 よって、日本の翻訳会社の
内部には、概ね30代前半までの社員しかおらず、それ以外は、
全て外注で回す
という方式を取っている。

更に、最近では、正社員は採用せずに、全て派遣社員で仕事を回している会社が
増えたため、翻訳の質が、ますます酷くなっている。 翻訳コーディネーターが
このような有様であるため、それに操られているフリーランスの翻訳者達は、
更に
酷い扱いとなっており、全てメールでのやり取りだけで、実際に翻訳会社の人達には
会ったことすらないというのが普通。

翻訳会社は、更に、英語のみを取り扱っている翻訳会社と、多言語を取り扱っている
翻訳会社とに分類出来るのだが、日本国内の場合は、英語のみ、プラス、中国語と
韓国語を取り扱っている翻訳会社が主流となっているが、近年では、多言語をも
取り扱うようになって来たため、本来は、それぞれの言語のプロのチェッカーが必要
なのだが、多言語の翻訳チェックを日本に留学している外国人の学生や、語学の
知識がない、単なるネイティブスピーカーに依頼をしている翻訳会社も多い。

一方、多言語を主に取り扱っている翻訳会社の場合は、
英語のみの翻訳会社よりも
マシなのかと言えば、特にそうでもなく、とりあえず、クライアントから英語以外の
言語の発注があったため、何となく多言語を取り扱っている翻訳会社が大多数。

その結果として、日本の多言語翻訳は、どのようになったのかと言うと、何でも右から
左へ流すだけの中継地点に成り下がった。 とりあえずは、DTPで何とでも誤魔化しが
効くのと、
クライアントの側も、極度の語学音痴であるため、たぬきときつねの化かし
合いの様相を呈しているのが現状。

その結果、日本の多言語マニュアルは、どのようになったのかと言うと、
その言語の
ネイティブが読んでも、良く理解出来ない内容となった。



その良い例が、ソニーで、ソニーのマニュアルは、海外では「ソニー語」という造語が
ある程、
現地の人間が読んでも一切理解出来ない内容となっているため、当然、
ソニー製品は海外では売れなくなった。 他の大手メーカーは、どうなのかと言うと、
どこも居たり寄ったりで、
とりあえず、中身だけ入っていれば、それで良しとしている
企業が大半であるため、目を覆うばかりの惨状となっている。

一般的に、理系の人間が書く文章は、日本語の時点でかなり最悪で、日本人が
読んでも、余り理解出来ない場合が多いが、それをソックリそのまま相当適当な
英語に翻訳しているため、そこから多言語に展開した場合は、どのような末路が
待ち受けているのか、容易に想像出来ると思う。

そもそも、語学に対して、何の知識も、こだわりもない人達であるため、その翻訳に
対して支払われる料金も当然安い。



翻訳会社内部で働いている翻訳コーディネーター達が、ものの数年程度で殆ど退職
してしまうのは、そもそのの給料が安い事と、翻訳に対する思い入れがあるためで、
中身を見る事すら許されない、更には、間違いを見つけたとしても、一切修正すら出来
ない状況下であるため、酷い人の場合は、精神的に参ってしまう、或いは、精神に
多少なりとも異常を来たす場合が多い。

逆に、フリーランスの翻訳者の場合は、仕事の波が激し過ぎて、対応し切れない
場合が多く、
暇な時は、数ヶ月間も音沙汰無しだったものが、ある日突然、徹夜して
でも仕上げなければならない
状況に一変するため、こちらも、精神に異常を来たす
人が多いのが現状。

何もかもが丸投げで成り立っているため、その一番末端に位置しているフリーランスの
翻訳者の場合は、安くて不安定な報酬で、何とかやりくりをしなければならず、この先も、
更に先細りの業界であるため、先の見えない不安と常に戦わなければならず、何もかもが
自己責任とされるため、それに嫌気がさして、翻訳業を辞める人も実は多い。

総じて、日本には、語学に対して、こだわりを持っている人間が、極端に少ないため、
こうなる
のだが、日本人の語学音痴は、相当なもので、世界一簡単な言語である、
英語のテストですら、世界でも最低ランクとなっており、年々そのランクを落としている
ため、この病は、当分治り
そうもない。

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