カナダの国民は2つの多数民族と数グループの少数民族から成る。 全人口の45%は
イギリス系で、29%はフランス系である。 イギリス系カナダ人は、移民と出生率の
増加により、ケベック州を除く州で最大の人口を占めている。
1950年代以来、他の多くの国籍の人々がカナダに移住して来た。 ウクライナ系、
ドイツ系、西インド諸島系、スカンジナビア系を含む少数民族が全人口の23%を
占めるに至った。 これらの住民は、それぞれの民族独自の文化を持ち続け、
休日や祭日も伝統に従っている。
総人口の残りの3%を占めるのは、インディアンとイヌイットのグループである。
インディアンの大半は、カナダ政府指定の2000ヶ所以上の居留地に住んでいる。
アルゴンキン族、イロコイ族、スー族をはじめとする多くのグループは、
インディアンを強制的に居留地へ移住させる政府の差別政策に耐え、生活集団を
維持して来た。 近年、インディアンの間から、より良い土地を要求し、独自の
文化をもっと保護せよという声も上がっている。
イヌイットの居留地はオンタリオ、ニューファンドランド、ケベックの3州と2準州の
寒冷地帯である。 集団意識の高いイヌイットをカナダの西欧的社会に統合しよう
とする様々な努力の結果、多くのイヌイットは伝統的文化を維持しつつ、同時に
新しい文化に適応している。
フランス系とイギリス系のカナダ人は、相変わらず緊張関係にある。 フランス系の
国民は、イギリス系とは言語と文化が異なるため、経済的、社会的に差別されて
いると感じている。 フランス系の多いケベックでさえ、企業の経営者の大半は
イギリス系である。
カナダの統一が困難なのは、フランス系とイギリス系が敵対しているためでもある。
例えば、ブリティッシュコロンビア州の住民は以前から、その地域の天然資源が
オタワの連邦政府によって不当に開発されていると考えている。
更に、アメリカ合衆国との関係が複雑で、時々緊張をはらむため、こういう様々な
国内の対立が一層酷くなる。 カナダの市場にはアメリカの映画、書籍、
テレビ番組、雑誌等がどっと入って来る。 アメリカ資本の企業がカナダ中に
進出している。
カナダ人の中には、強力な隣国であるアメリカがカナダ独自の生活様式を脅かして
いると感じている者もいて、それが時には強い反米感情となって現れることも
あった。 アメリカ・カナダ自由貿易協定(FTA)の批准をめぐって激しい論争が
行われたが、そこにもカナダの経済がアメリカに支配されるのではないかという
カナダ人の不安が伺える。
近年は、これらカナダ最古の住民の子孫達も古来の習慣に現代の伝統を融合させ
ている。 現在では、古代の信仰をあくまでも守ろうとする人は少なく、ほとんどが
キリスト教徒である。
ローマ・カトリックの信者数は、総人口の約48%を占めている。 その他は大半が
新教徒で、特にカナダ合同教会とイギリス国教会の信者が多い。 ギリシャ正教、
ユダヤ教、ウクライナカトリックを中心とするキリスト教少数派の社会もカナダ
全土に点々と存在する。
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