犯罪を計画段階から処罰する『共謀罪』の趣旨を含む組織的犯罪処罰法の改正を
めぐり、自民、公明両党は2017年5月19日午後の衆院法務委員会で、日本維新の会と
共同で提出した修正案の採決を強行し、3党の賛成多数で可決した。 与党は5月
23日の衆院本会議で採決し、参院に送る方針。



共謀罪は、2人以上の人間が犯罪行為について話し合った時点で、犯罪が成立して
しまう。 これまでは、実行行為がなければ犯罪は成立しないという歴史的に確立
された刑法の大原則を、この法案によって、ひっくり返そうとしているからだ。
法務省刑事局長の国会答弁によれば、言葉とは限らず、目配せでも成立するという、
共謀罪の成立要件は限りなく捜査機関の『解釈』の問題となる。 しかも犯罪と
規定されるもの全般、676もの犯罪が対象となる。

犯罪の概念を密かに書き換え、犯罪行為に至るかすら分からない時点で、むしろ
実際には単なる会話に終わることが大半であったとしても、人々を『犯罪者』に
変えてしまう可能性があるため、これまで国会で3度も廃案になって来た。
共謀罪法案は、組織的犯罪集団が重大な犯罪を計画し、資金の調達や犯行現場の
下見などといった準備行為を行った場合に処罰する内容。

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自民、公明、維新の3党は、取り調べの可視化(録音・録画)やGPS(全地球測位
システム)捜査の制度化について検討することを盛り込んだ修正案に合意し、
国会に提出したが、審議の継続を求めて来た民進、共産両党が質疑の打ち切りに
抗議して委員会室は騒然とした。

民進、共産、自由、社民の野党4党は『一般人が対象になり得る』『警察などの
捜査権限が拡大し、公権力による監視が強まる』として修正案に反対。 5月17日
には、答弁が混乱するなど説明責任を十分に果たしていないとして、法案を所管する
金田勝年法相に対する不信任決議案を出したが、18日の衆院本会議で否決された。

 

共謀罪は、犯罪の合意(新たな法案では、これを『計画』と言い換える)だけで
犯罪が成立し、しかも、言葉を直接交わさなくとも、『暗黙・黙示の合意』でも良い
とされることから(2005年の国会審議では、当時の法務省の大林刑事局長は、
『目くばせ』でも合意が成立すると答弁したことが有名である)、果たしていかなる
場合に合意が成立したのかが極めて曖昧となるため、捜査機関、とりわけ警察による
恣意的な運用によって、市民運動や労働組合などによる反政府的な運動の弾圧に
利用される恐れがある。

『暗黙・黙示の合意』は、何ら言葉を交わしていないため、実際には何の合意もして
いないのにも関わらず、警察が政府に反対する運動をしている市民団体や労働組合の
構成員について、『犯罪の合意があったに違いない』と認定すれば、逮捕したり
家宅捜索をすることが可能となるため、捜査機関、とりわけ警察による横暴を招く
恐れがあり、これによって、えん罪を生む恐れがある。

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