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通訳職に関する資格制度が導入されて来なかった理由

【能力・適正判定の難しさ】
資格導入されなかった歴史的背景としては、資格を付与するかどうかの
技術レベル判断の難しさと煩雑さが挙げられる。 この状況は、現在でも
続いていると言える。 通訳スキルを資格化しようとしても、そのレベルを
機械的に判断する事は出来ない。 通訳スキルは、コミュニケーション、言語、
言葉の選び方、表現法、プレゼンテーションスタイル、また、クライアントの
満足感を誘発する能力等の人間的要素を包括するものであるため、機械的に
単一評価をする事は不可能である。

また、良い通訳だったかどうかの判断には、個人の主観的な判断の要素が
大きい。 ハッキリと話す明瞭さを好むか、しっかりと穏やかな語り口を
望むかは、TPOに加えて、個人の好みも大きい。 そのような主観的な判断を
排除した試験を実施すると、単なる語学試験に終始されてしまい、プロの
コミュニケーターとしての状況判断能力や、人間的な要素が考慮、判断
されない事となる。 このような判断を下してしまうと、通訳業務にとっては、
大きな部分を果たすコミュニケーション能力が測られない事となり、適切な
資格試験とはなり得ない。
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語学能力だけを取っても、同時通訳レベルとなると、極めて専門的なスキルと
なるため、その専門領域を見極め、判断出来るだけの語学力と技量を持って
いる人材が殆どいない。 機械的な試験は、ましてや、不可能である。

通訳と言うのは、様々な場面で発生し、それぞれの場面で要求される
通訳サービスの構成要素が少しづつ異なるため、どの場面にも通用する
適正を測る試験を実施するのは難しい。 例えば、製薬業界の会議で通訳者を
頼まれる能力と、文学の朗読会で望まれる能力は、まるで異なる。 弁護士の
クライアントに気に入られても、保母さんのクライアントには気に入られ
ないかも知れない。 求められる要素がクライアントや場面に応じて、
多種多様になるため、一律試験で適正を測る事は難しい。 通訳適性や
能力についての判断の難しさが、資格導入を阻んで来た大きな要因と言える。



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