経済協力開発機構(OECD)は、2015年11月24日、2012年におけるOECD
加盟国の国内総生産(GDP)のうち、教育機関に占める割合などの調査
結果をまとめた『Education at a Glance(図表で見る教育)』の2015年版を
発表した。 日本が教育に掛ける公的支出は、調査対象国の中でスロバキアと
並び、最下位だった。 尚、日本の最下位は、6年連続。 

『Education at a Glance』は、OECDが1992年に初めて公表し、2000年からは、
毎年公表している教育に関する調査レポートで、OECD加盟国を中心に、教育
機関の成果と教育、学習の効果、教育への支出と人的資源、教育機会、在学・
進学の状況、学習環境と学校組織などについて、国際比較が可能な最新の
指標を掲載している。

2014indings638

2015年版の調査結果を見ると、OECD加盟国が小学生から大学生までの子供
ひとりあたりに掛ける教育資金は、平均で10,220米ドル(11月24日現在、
約125万2,461円)。

国が教育に掛ける公的支出の割合を見ると、比較可能な調査対象国32か国のうち、
日本が最も低い3.5%
だった。 1位は、ノルウェーの6.5%となっており、次いで
ベルギー、アイスランドが5.9%、フィンランドが5.7%と北欧諸国の教育に掛ける
公的支出が高かった。 尚、今回の調査対象は34か国だが、調査指標や児童、
生徒区分の違いによっては、調査対象国数に変動がある。

20151125151003

更に、OECD加盟国だけではなく、途上国等も含めての『公的教育費の対GDP比率』
を見ると、日本は101位となっており、『政府支出に占める公的教育費割合』では、
日本は何と!123位となっている。 日本は教育に対して、途上国以上にほとんど
税金を使っていない国
となっている。

日本の公立小学校の学級規模は、調査対象である29か国中、3番目に多い平均27人
となっており、OECDの平均を6人上回っている。 中学校では、26か国中、
2番目に多い32人で、OECD平均よりも8人多かった。

日本の教育に掛ける公的支出の割合の低さは、2014年にも指摘されていた課題の
ひとつとなっている。 その他、2014年の結果では、日本は韓国やチリと同様、
高等教育段階の学生のほとんどが、高い学費を請求されており、学生支援制度が
発達していない事が指摘されていた。

尚、日本では、財務省が国立大学の学費を私立大並みに値上げする案が提案され、
既に可決されている。 更に、財務省は、小中学校の教職員数を9年間で約3万
7,000人も減らすことを提起し、国民が求める少人数学級の実現に完全に背を向けて
いる。 OECDからの指摘は、完全に無視された形となっている。