首都圏の上空には、巨大な『見えない空の壁』が存在する。 これが戦後70年
以上にも渡り、米軍が東京の空を支配し続けている『横田空域』だ。

横田空域とは、東京都福生市にある米軍横田基地の上空を中心に広がる空域の
ことで、戦後、連合軍が日本の空の管制権を掌握した後、『日米地位協定』に
基づいてそのまま米軍が管理することとなった。 現在、米軍管理下の
横田管制が空域を管理している。 このため、この空域は、東京にほど近い
空域でありながら、日本の主権が全く及ばない空間となっている。

【1都8県にまたがる横田空域】
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関西や九州などの西日本から羽田空港に向かう飛行機は、そのまま空港に
一直線には向かわず、千葉方面からかなり迂回をしてから高度を下げる。
羽田から西へ向かう場合も、わざわざ東京湾上を旋回してから向かう。
その原因は、この空域を飛び越えたり、 迂回したりするため、戦後70年
以上にも渡り民間航空機は遠回りを強いられて来た。 この迂回分の
燃料コストは、当然、全て乗客に跳ね返って来る。 迂回の時間ばかり
ではなく、その費用までもが乗客へと上乗せされており、実質、二重の
負担を強いられているのである。

この横田空域は、神奈川県や静岡県、北は新潟県まで1都8県にまたがっており、
最高高度は2万3000フィート(約70,00メートル)もある。 この空域を通過
出来れば、西へ向かう飛行機は、約20分程度時間を短縮出来るとも言われて
いるのだが、実際は、この空域を通過する度に毎回必ず申請をしなければならず、
時によっては通れない可能性もあるため、横田空域を定期便のルートにすることは
事実上不可能となっている。 よって、各航空会社はこの空域を全て避ける
ルートを設定している。

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羽田や成田空港に発着する航空機が横田空域を避ける方法は、迂回するか
飛び越えるかのどちらかしかない。 日本国内線の飛行高度は水平飛行時でも
約1万メートル程度であるため、羽田に隣接するこの空域を飛び越えるのは
簡単ではない。

そのため、羽田から北京、上海、ソウルなどへの便や、国内では北陸や山陰
方面への便の場合、離陸後にそのまま西へ向かわずに、東京湾上空を大きく
旋回してから高度を上げ、目的地に向けて横田空域の上を通る。 その分、
時間を無駄にすると共に燃料費も余計に掛かっている。

日本政府はこれまでに、横田空域の返還を繰り返しアメリカに求め、部分的に
返還されて来た。1992年には空域の約10%、2008年には約20%が返還される
などして来たが、まだその殆んどが米軍の管制下に置かれたままである。
2008年に20%返還された際には、羽田から西に向かう便の飛行時間は平均で
3分短縮された。 燃料費は年間で約60億円削減された計算となる。

【横浜の上空もほぼ全てが横田空域】
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例えば、羽田⇔伊丹便の場合、年間の横田空域迂回分の燃料だけでも、11万kℓと
言われており、もし横田空域の全てが返還された場合、大阪国際空港(伊丹)まで
であれば、現状50分程度のところ、30分近くで着くようになる。 福岡や沖縄も
今より20分は短縮され、燃料費は年間で数百億円規模のコストが削減出来ると
考えられている。

尚、日米地位協定により米軍人、軍属、家族は出入国の手続きを必要としない。
このため、アメリカの高位高官が出入国しても、それが日本側に告知されない限り、
日本はその事実を知ることが出来ない。

横田空域については、日米合同委員会の下の枠組みにより、日米両国政府が
協議を行い、これまで段階的に7回の一部返還が実現しているが、 日本政府が
求めて来た横田空域における進入管制業務の米軍から日本政府への移管
(横田空域の全面返還)に関しては、米軍は運用上の理由により、応じられない
との立場をとっている。 よって、現在のところ、全域返還の見込みは全く
立っていない。

尚、このような不平等な事実を持つ先進国は世界でも日本以外他にないとか。
米軍基地に関しては、『思いやり予算』と称して、ドイツの約3倍もの負担を
強いられているのだが、日本政府は、自分で自分の首を絞めているとしか思えない。

日本以外に、極端なアメリカ寄りの政策を採り続けている国は見たことがないが、
政治の裏側までもが全てアメリカに支配されているとすれば、国家としての機能
どころか、アメリカから独立しているとは言えないのではないか。

【お勧めの一冊】


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