【資格制定に取り組む事に関する私的利益の欠如】
試験実施が困難な中、特に積極的に資格化を進めようとした人が
居なかった事も、歴史的に資格化が進展しなかった実態的な理由と思われる。
困難な任務に取り組んでも、個人的な経済的メリットが特にない場合、
職業従事者としての強い使命感や社会貢献の想いがなければ、資格を
整備するという面倒な作業を進めたいと言う人は、少ないと考えられる。
通訳者には、一匹狼のような独立志向の人が多く、一般的に、他人の事を評価、
判断するよりも、自分のレベルを高める事に熱心であったというのも、要因の
ひとつと考えられるため、通訳産業のために、公共の立場で何かをする
という動機よりは、自分の会社の利益を高めるために、私的に行動する
動機の方が強く働いたと推測出来る。
【公的資金の欠如】
更に、資格化が進まなかった理由として、国家資格がなくても、特段市場で
混乱が起きなかった、もしくは、混乱が意識されて来なかった事が挙げられる。
翻訳会社が技術レベルの分類をするようになり、それが事実上の標準
価値となって行き、市場は、それで十分だと認めて来たのだと言える。
上述のように、技術試験の実施が困難な中、技能レベル判定する事による
メリットがあったのは、翻訳会社だけである。
翻訳会社が技能レベルの分類をするようになったのは、通訳者を
クライアントに紹介する際に、どのレベルの通訳者かを分類する必要が
あったためである。 の利便性向上のための分類なのであれば、それは、
国家資格ではなく、翻訳会社内の技能レベルの分類で十分であった。
国やその他機関に対し、責任を負う事無く自由にレベル分類する事が出来る
自由評価の方が楽であった。
そもそも、全く公の分類が無かったところに、翻訳会社によるレベル
分けが行われるようになったため、最初に行われた私的なレベル判断が、
事実上の標準となって行った。 やがて、翻訳会社内の技能レベル
分類が、通訳者市場の中での事実上共通なレベル分類へと繋がって行った。
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