スペイン語は、古代ローマで口語として使われていた『俗ラテン語』から
派生したロマンス語派の言語の1つで、フランス語、イタリア語、ポルトガル語、
ルーマニア語等姉妹言語とは、多くの共通点が見られる。
第一に、名詞には性の区別があり、形容詞や冠詞は、それに合わせて語形変化する。
例:el toro negro(黒い雄牛)、la vaca negra(黒い雌牛)。 el や la は、定冠詞
単数の男性形と女性形で、toro は 雄牛、vaca は雌牛、negro と negra は、形容詞の
男性形と女性形となっている。
第二に動詞は、法、時制、人称、数に応じて多くの活用形に変化する。 例:
canto(私は歌う)、cante(あなたは歌いなさい)。 共にcantar (歌う)の
活用形だが、前者は直説法現在1人称単数形、後者は接続法(仮定法)現在
3人称単数形となっている。
また、ラテン語の語彙は、英語にも取り入れられているため、他のロマンス語同様、
英語と良く似た語彙が見られる。 例:petróleo(石油)、democracia(民主制)、
arquitectura(建築)。
スペイン語の特異性は、アラビア語の影響を強く受けているところで、これは、
スペインが8世紀から数百年間に渡りイスラム教徒の支配下にあったことによる
もの。 almohada(枕)。berenjena(ナス)のような名詞だけではなく、
間投詞 ojalá (願わくば)や前置詞hasta(~まで)などもアラビア語が起源と
なっている。
スペインは、15世紀の大航海時代以降、アメリカ大陸やアジア、アフリカに広大な
植民地を作った。 その多くにスペイン語が根付き、世界有数の大言語のひとつと
なった。
【スペイン語の今】
現代のスペイン語の言語事情には、相反する2つの側面が見られる。 1つは、東部の
カタルーニャ語、北西部のガリシア語、北東部のバスク語などの地方言語が伸びて
来ているところ。 かつて、これらの言語は、使用を禁じられ、弾圧された時代が
あったが、1978年に公布された現憲法で復権を果たし、現在では、スペイン語と
並んで、各々の自治州の公用語となっている。 どの自治州も地方言語の普及に力を
入れているため、今度は、むしろ、スペイン語の地位が微妙になるケースも生じて
いる。
もう1つの側面は、スペイン語を母国語としない人々の流入で、1998年には人口の
2%に過ぎなかった外国籍人口が、2007年には10%(約450万人)に達した。 この
中にはスペイン語圏であるラテンアメリカの出身者もかなり含まれているが、EUの
拡大に伴って、ルーマニアやブルガリアなどの東欧からの移民が急増している。
こういう人々は、必要に迫られて懸命にスペイン語を習得し、新たなスペイン語
人口を形成しつつある。
ラテンアメリカのスペイン語は、使用域の広さの割りには均質で、人口1億を越す
メキシコが世界最大のスペイン語国となり、また、アメリカ合衆国内にも約2,500
万人のスペイン語話者が存在しているため、スペイン語を左右しているのは、
ラテンアメリカだと言えるだろう。
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