トランプ米大統領は2017年6月1日午後(日本時間2日未明)にホワイトハウスで
会見し、地球温暖化対策の国際ルール『パリ協定』から米国が離脱すると発表した。
190カ国以上が合意し、147カ国・地域が締結している協定は、世界2位の温室効果
ガス排出国である米国の退場で大きな転機を迎えることになった。

『パリ協定』とは、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催された
パリにて、2015年12月12日に締結された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な
協定。 1997年に採択された京都議定書以来、18年ぶりとなる気候変動に関する
国際的枠組みであり、2016年4月22日のアースデーに署名が始まり、2020年以降の
地球温暖化対策を定めている。  気候変動枠組条約に加盟する全196カ国全てが
参加する枠組みとしては世界初の協定である。

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トランプ氏はホワイトハウスで演説し、『(協定は)米国の経済を弱らせ、労働者を
くじき、主権を損ねる。 米国を他国より常に不利な立場に置くものだ』などと
指摘。 中国やインドを名指しして両国の対策が米国に比べて不十分だと述べ、
『離脱して再交渉するときだ』と各国に再交渉を呼びかけた。

トランプ氏は更に、パリ協定がもっぱら他国の利益になるとし、再交渉して目指す
新たな合意の条件として『産業、労働者、国民、納税者にとって公平であること』
と述べた。

協定に基づき、オバマ前政権が掲げた温室効果ガスの削減目標『2020年に05年比で
26~28%減」も取り消す。 途上国の温暖化対策として約束した国連の『緑の気候
基金(グリーン・クライメート・ファンド)』への拠出金も即座に停止する。
ただし、協定の親条約である国連気候変動枠組み条約には留まるとしており、
パリ協定の枠外から温暖化対策の国際交渉に今後も関与していく意向と見られる。

米国の同協定からの離脱により、化石燃料産業に大きく影響されているトランプ
政権は、国連の気候対策に対する影響力を低下させることになる。

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米国の離脱から生じる懸念の一つには、他の汚染源国が、米国の後に続くのを助長
することだ。 今のところ、世界のその他の温暖化ガス排出大国──中国(1位)、
欧州連合(EU、2位)、インド(4位)は、いずれもパリ協定への支持を改めて
表明している。

協定の規定では、正式な離脱は発効3年後の2019年11月4日から可能で、手続きに
更に1年掛かる。 このため、米国の離脱は次期大統領選後の2020年11月以降と
なる。 その間、米国は形式上は協定に留まることになるが、2020年からの協定
実施に向けた詳細なルール作りなど今後の国連の交渉では、米国の発言力が失わ
れるのは必至だ。 パリ協定の順守を表明している中国や欧州連合(EU)の
指導的な立場がより強まると見られる。

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