戦後の焼け野原から再出発をした筈の日本とドイツ。 共に勤勉な国民性で
知られているが、日本とドイツとでは、労働に対する国民の意識に天と地程の
非常に大きな隔たりがある。
 
ドイツは世界の主要国の中でも最も労働時間が短く、日本よりも有給休暇の
取得率が遥かに高い。 それにも関わらず、ドイツでは高い経済パフォーマンスを
維持することに成功している。 OECDによると、ドイツの2014年の労働生産性
(労働時間あたりの国内総生産)は、64.4ドルで、日本の41.3ドルを約56%も
上回っている。
 
ドイツの労働生産性が日本を大幅に上回っている理由は、ドイツの労働時間の
短さである。 ドイツの例は、労働時間が短くても経済成長を維持し、社会保障
システムによって富を再分配することが可能であることを示している。 逆に、
残業が半ば強制となっている日本企業では、ダラダラと作業をすることが日常的に
なっている分だけ、労働生産性が低くなっている。

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ドイツでは、徹底した合理主義により、2014年のドイツでの労働者1人あたりの
年間平均労働時間は1,371時間であった。 これは、OECD加盟国中で最も短く、
日本の1,729時間と比べると、約21%も短い。 日本よりも358時間、OECDの
平均よりも399時間、韓国よりも753時間も短いことになる。

ドイツ企業では、短い時間内で大きな成果を上げる社員が最も評価され、逆に、
成果が出せないのに、残業をする社員は全く評価されない。 このため、
ドイツでは、長時間労働による自殺や過労死、鬱うつ病は日本ほど大きな社会問題
とはなっていない。 ドイツでは、例え、暇な時でも、無理に作業をしている
振り等しなくても良い。
 
EUの中でも、1人勝ちとも言われているドイツは、景気が非常に良いため、失業率が
4.2%となっており、EU加盟国の中では、チェコに次いで2番目に低い。 南部の
物づくり企業を中心として、技能を持った人材が恒常的に不足しているため、
ある企業が長時間労働をさせていたことがメディアで報じられると、優秀な人材が
集まらなくなる。

ドイツ人は、仕事とプライベートのバランスを非常に重視している。 このため、
企業側では、優秀な人材を確保するためにも、労働条件が悪いという評判が立たない
ように非常に神経を使う。 日本のように、仕事のために家庭を顧みない等という
事は、ドイツではあり得ない。
  
ドイツでは、1日10時間を超える労働は法律で禁止されており、労働条件を監視する
政府機関が時折、労働時間を抜き打ちで検査し、1日10時間を超える労働を組織的に
行わせている企業に対しては、最高1万5,000ユーロ(約172万5,000円)の罰金を
科すこととなっているが、その場合、長時間労働を行わせていた企業の管理職に
対して、自腹で罰金を支払うこととなっている、 このため、ドイツ企業の
管理職は、繁忙期でも社員が10時間を超えて仕事をしないよう、細心の注意を行う。
 
【有給休暇をすべて取得した人の割合の国際比較】
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ドイツの企業では、法律によって最低24日間の有給休暇を社員に取らせるよう
義務付けられているが、大半のドイツ企業では、社員に30日間の有給休暇を
与えている。 更に、ドイツ企業で働く人の大半は、毎年この30日間の有給
休暇を全て使い切る。
 
ドイツでは、一般の社員が、2~3週間のまとまった休暇を取得しても全く問題は
起きないどころか、休暇中に業務メールをチェックする義務もない。 毎年、
社員が交代で休みを取るため、ねたまれることもない。 誰もが休暇を取るのは
当然の権利だと考えており、休暇に対して、後ろめたい気持ちなどは毛頭ない。
日曜日や祝日の労働は禁止されている他、土曜日にオフィスで働く場合には、
上司の許可が必ず必要となっている。
 
有給休暇と病休は、ハッキリと区別されており、ドイツ企業では、法律によって
社員が病気やけがで働けなくなった場合、最高6週間までの給料を支払う。
つまり、毎年30日間の有給休暇の他に、6週間まで病休を取ることが出来る。

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