【英語はドイツ語の兄弟】
今や英語が国際語であることを疑う人はいない。 それどころか、子供を国際人に
育てると証して、何の疑いもなく小学生から英語教育を行おうとしている。
しかしながら、English がアングル族の言葉を意味する Englisc を語源とすること
からも分かるように、英語は、ブリテン島のイングランドとスコットランドの
低地地方で話される地域的な言葉でしかなかった。

更に、近世に入るまでは、ラテン語やフランス語に比べて、その地位も低く
見られており、神の言葉である聖書は、英語には翻訳出来ないという議論まで
あった程である。 英語が国際語としての現在の地位を確立するまでには、
その過程で征服や侵略や植民地化の歴史、そして辛く悲しい移民の歴史があった
のである。

英語の歴史的研究も、18世紀になって当時イギリスの植民地であったインドに
駐在していたひとりのイギリス人判事ウィリアム・ジョーンズ卿の講演から
始まったに過ぎない。

ウィリアム・ジョーンズ卿は、古いインドの言葉であるサンスクリット語(梵語)を
研究し、サンスクリット語とラテン語それにギリシャ語の類似性に気が付いた。
そして、1786年には、『これらの言語は、現在では既に消滅した共通の言語から
枝分かれしたものである』ことを示唆する講演を行った。

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これは、現在インドからヨーロッパに掛けての広大な地域で話されている様々な
言葉は、実は、インド・ヨーロッパ語族と呼ばれるひとつの言語グループに
分類されうること、そして、そのインド・ヨーロッパ語族には、その元になった
古い言葉、いわゆる『印欧祖語』と呼ばれる言語が存在したことが想定されうる
という、驚くべき事実の発見であった。

英語は勿論このインド・ヨーロッパ語族に属しており、その中でも、ドイツ語、
オランダ語、フリースランド語などと同じく、ゲルマン語派の中の西ゲルマン語群
に属している。 つまり、英語は、ドイツ語やオランダ語、それに、オランダの
北西の沖合いに浮かぶ列島フリースランド地域で現在30万人程の人が話すだけに
なったフリースランド語などと兄弟の言葉なのである。

フランスの言葉や文化の影響をイギリスに持ち込んだ1066年のノルマン征服が
なければ、現在のイギリス人は恐らく、オランダ語のような言葉を話していただ
ろうとまで言われている。

そもそも、最初にブリテン島に住んだのは、インド・ヨーロッパ語族の中でも、
ケルト系の言葉を話すブリトン族であった。 その後、ブリテン島を支配して
いたローマが、5世紀になって、ブリテン島から引き上げると、アングル族、
サクソン族、ジュート族などのゲルマン民族が現在のデンマークや北海沿岸の
ドイツからブリテン島へと渡って来た。 この時の様子は、『アングロ・サクソン
年代記』という古い書物などによって、うかがい知ることが出来る。

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