残業とは、時間以内で処理し切れずに『残ってしまった仕事』なのか、はたまた、
『残されてまで無理やりやらされる仕事』なのか、『ブラック企業』花盛りの昨今と
なっては、後者の方が現代における『残業』の意を得ており、既に、この『ブラック企業』
なる言葉自体が、市民権を得るまでになっておりますが、そもそも、業(ごう)とは、
仏教の基本的概念で、サンスクリット語の『karman』を日本語に意訳したもの。
本来の意味は、『行為』を表す。 業そのものは、善悪に応じて果報を生じ、死に
よっても失われず、輪廻転生に伴って、代々伝えられると考えられた。
 

今日、一般的にこの語を使う場合は、『因縁・因果による行為』で生じる罪悪を意味し、
例えば、『業が深い』とは、前世の罪深さにより、多くの報いを受けているさまを表す。
または、運が悪かったり、酷い想いをしたりする際に用いられる。 その他、不合理
だと思ってもやってしまう宿命的な行為という意味で使ったりする事が多い。 よって、
残ってしまった『業』とは、このまま残してしまうと、『死をもってしても消せない来世や
その先まで未来永劫続く宿命的な行為』と解釈出来るため、『残業』とは、いわば、
仏教的な『強制観念』とも言える。 よって、この無意味で無報酬な『残業』をなくすため
には、元を断つという意味でも、この名前を何とかしなければならない。 とりあえず、
英語大好きな日本民族と致しましては、英語からの直訳である『過剰労働』、略して、
『過労』などとしておけば、社内で口に出すのもはばかられ、目に見えて残業が減る
かも知れない。
 

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現在、『過労死』なる単語はあるものの、『残業死』なる単語はないため、中身は同じで
あるものの、単に言い方を若干変えるだけで、的確で非常にイメージしやすい表現
方法となり、これぞ、日本における言葉のイリュージョンとなっている訳だが、日本に
おけるイリュージョンとは、夢や希望を国民に抱かせるために存在しているのではなく、
マイナス面を全て隠し通すために存在している。 例えば、職場で『今日は『過労』を
して作業を終わらせて下さい』と言われた場合、『過労死するから嫌です』と気軽に
断れる世の中になるかも知れない。


現在、マンモス企業などでは、この残業が完全に禁止されており、1分たりとも残業が
禁止されていたりするが、このように書くと、一見非常に楽そうに見えるものの、
実際のところは、『何が何でも時間以内に仕事を全て終わらせなければならない』
という、かなり過酷なもの。 但し、このような大企業さまでは、自分から前もって、
時間以内に間に合わない旨を通達しておけば、納期の延期もかなり融通が利くため、
そこまで過酷ではない。 以前働いていた、某経団連企業さまなどでは、納期の延期
などというものは一切なく、非常に難しい技術系の文章を日本語と外国語の双方向で
1日に何本も翻訳するために、トイレに行く間も惜しんで、ただひたすら作業に打ち
込んでおりました。 但し、そこまで努力をしたところで、ものの数カ月程度で
『雇用主都合』により、気軽に切られてしまったため、そもそも、そんな企業のために、
本気などを出す必要性すらなかったのかも知れない。

その次に働いていた企業では、定時に帰宅をしてしまうと、無理な制作業務で残業を
しまくっている周囲の部署に示しがつかないという非常に安易な理由により、本来の
労働時間である筈の作業時間内には、特に何も行わずにダラダラと時間を過ごし、
定時が終了し、残業が始まった途端、やっと通常通りに働き出すというかなり非生産的な
職場であった。 但し、殆どの日本企業では、30~40時間までの残業時間が、作業
時間内として強制的に組み込まれているため、当然このような無意味な残業をした
ところで、『残業代』などと言う概念すらない。
 

本来、仕事を効率的に進めて、定時以内で全て作業を終えられる能力を持った人間
こそが、評価されなければならないところが、日本の場合は、これが全て真逆となって
おり、単にダラダラと席を温めていれば、一生安泰となっている。 但し、このような
非生産的な人間が増え過ぎたため、最近では、リストラの嵐が吹き荒れているのだが、
リストラをしたところで、真っ先にその企業を出て行くのは、転職が出来る『能力のある人材』
ばかり。 よって、安易に企業内でリストラを進めると、無能な人材に限り、決して
その企業を辞めず、逆に忠誠心のある社員として祭り上げられるのだが、そのような
時代錯誤な時代は、昭和と共に過ぎ去ったため、いい加減、社会全体が目を覚まして
頂かないと、日本全体が、過労死と無能な正社員たちによって、滅びます。

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