オランダ語は、英語やドイツ語と同じくゲルマン系の語派に属しているため、
これらの言語と基礎語彙がかなり良く似ている。 また、歴史を振り返ってみると、
オランダ人が荒波を乗り越え、世界の隅々まで出掛け、言語を含めて文化的影響を
残したという一時代があった。 日本もその恩恵に浴した国であることは言う
までもない。 もっとも、オランダ語の語彙も、他言語からの影響を少なからず
被っている。 主に英語やフランス語の語彙を取り込み、その多くの借用語が
オランダ語には欠かせないものとなっている。
今日、最も多くの語彙を借用するのは英語からで、実際、単語に留まらず、
成句や諺にまで及んでおり、今やほとんど全く英語を話さないオランダ人ですら
口にするようになっている。 例えば、tram、flat、fift-fifty、up to date などが
挙げられる。 ただ、逆に、オランダ語の語彙は、例えば、ドイツ語などの
隣接の言語と外見上良く似ているのに、意味の上で微妙な違いがあることもあって、
注意が必要となっている。
例えば、蘭:aardig 素敵な、独:artig 行儀が良い、蘭:aandacht 注意、
独:Andacht敬虔さ、蘭: verzoecken 懇願する、独:versuchen 試みる
などがある。
【オランダ語の今】
現在の標準オランダ語は、パタビア共和国以来の中央集権によって発達した
ホラント州の社会的上流階級の言葉が1900年ごろから標準語として認められる
ようになったもので、そもそも、オランダ語の呼称に関して言うと、その国名は
Holland あるいは、Netherlandとして知られているにも関わらず、その国民名と
言語名は Dutch という言語名で呼ばれることが普通となっている。
12~13世紀以降、ドイツは Deutschland という国名で知られていた。 そして、
15~16世紀になると、英語の Dutch は、オランダ国内の諸方言を含んだ意味での
ドイツ語のことを指すようになった。 オランダが独立し、大航海時代(17世紀)
に入ると、英国との接触が頻繁になり、英語において Dutch という語は、次第に
意味が狭まって行き、単に現在のホラント州を中心としたオランダ北部統一7州
として知られる地域を指すようになった。
日本におけるオランダ語の研究の歴史は長く、江戸時代の『ハルマ』や『訳鍵』
といった蘭日辞書の編纂に始まる。 蘭学とは、広義には、当時の日本人が
オランダ語を通じて学んだ西洋の学問一般を指し、医学をはじめとする西洋の
学問は、オランダ語を媒体として日本に取り入れられた。 わずか4000坪の
長崎の出島は、日蘭貿易の拠点であったのみならず、近代科学や思想が日本に
流入する唯一の窓口でもあった。
【お勧めの一冊】
>>トップページに戻る
クリックをお願いします☆
にほんブログ村