旧ソ連構成国だった中央アジアのカザフスタンが国際化を目指して、カザフ語の
ロシア(キリル)文字表記を止めてローマ字に変更することを決定した。 若者は
既に携帯電話のメールをローマ字で送るなど、かなり以前からロシア文字離れが
加速していた。

『ローマ字は今日、情報通信分野を席巻している』。 2006年にこう述べていた
ナザルバエフ大統領は今年4月、国営紙に論文を発表。 この中で、表記変更の
具体的なスケジュールを提示した上で、2025年にはローマ字に完全移行すると
宣言した。

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カザフスタンでは、カザフ語が国語、ロシア語は公用語とされているが、多くの
外国人観光客にとっては、ロシア文字は読むことすら難しい。 カザフスタンは
元々、イスラム教徒が多数派を占めており、旧ソ連からの独立直後は、アラビア
文字へ変更する運動も行われたが、定着しなかった。

1930年代、カザフスタンでは、チュルク系のルーン文字からラテン文字へ、ラテン
文字からロシア文字へと、2度文字が変更された。 ロシア文字に転換された結果、
国外のカザフ人とカザフスタンのカザフ人が、文字の上で分断された。

カザフスタン内には、100以上の民族が暮らしており、カザフ語とロシア語の他に
先住民族であるウズベク語、タジク語、ウイグル語が教育言語として認められて
いる。 旧ソ連から独立した1990年代には、カザフ語を強化拡大する政策に重点が
置かれた。 1997年に言語法が定められ、高等教育まで一貫して受けられるのは、
カザフ語とロシア語だけとなっているため、カザフ人とロシア人以外の少数民族は、
カザフ語かロシア語のバイリンガル教育に力を入れている。

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現在、カザフスタンでは、ロシア系住民が約2割を占めているが、この先、正式に
ローマ字を使うことになるため、ロシア系住民の国外脱出の機運が更に高まると
考えられている。 旧ソ連からの独立時、カザフスタンでは、約6割超がロシア系
住民で占められており、カザフ人は、むしろ、少数派だった。 但し、独立後は、
カザフ人中心の政策に切り替えられたため、多くのロシア人やウクライナ人たちは、
カザフからは去って行った。

カザフ政府筋は『カザフ語のローマ字化後もロシア語は残る』と反論しており、
『中高年がローマ字に慣れるのは難しいかも知れない』としている。

尚、これまでにロシア文字を捨てて、ローマ字へ移行した国には、ルーマニア、
モルドバがあり、現在、セルビアがローマ字へ移行中となっている。

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