香港住民は、自らを何人だと考えているのか。 この問いの答えは、当の
香港人にとっても自明のものではない。 香港大学の世論調査プログラムでは、
返還以来、継続的に香港住民が自分を何人と称するかについて調査を行っているが、
それによると『香港人』という回答は、返還以来減少していたが、2000年代末頃
から増加に転じ、2012年上半期には、返還後最も高い45.6%を記録している。
これに対して『中国人』という回答は、ほぼ逆の動きを見せている。

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『香港人』という意識は、一般に、1960~70年代の香港の社会的、文化的変容の
中で原形が生まれ、返還後の1980年~90年代には、『香港人』は『中国人』とは
異なるという意識が顕著になって行ったとされる。 改革、開放当初、発展を
始めたばかりの中国大陸は、戦後の高度成長を経て、国際金融センターとしての
地位を確立していた香港から見れば、『貧しくて遅れた』存在であり、大陸側から
来る新移民に対して、テレビドラマ等を通じて『ダサい、怠慢、公的道徳に欠けた』
等、ネガティブなイメージが共有されて行った。

とは言え、一方で、香港在住民の対部分は、中国大陸から移って来た難民、移民、
および、その子孫であり、民族的、文化的起源が中国にあることは否定し難い。

こうした中で、香港住民は、非民主的で遅れた中国大陸と対比されたり、中国共産党
政権の脅威を訴える局面では『香港人』となり、一方で伝統文化や中国人スポーツ
選手の活躍を誇りに思う時は『中国人』となるというように、両者を使い分け、
あるいは、両者の間を揺れて来た。 帰属意識の矛先が、20年も経たない短期間の
うちに二転三転しているということ自体、この交錯した心理を良く物語っている。

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2014年12月23日、RFI中国語版によると、香港で行われた世論調査で、『香港人』
としてのアイデンティティーが『中国人』としてのアイデンティティーを大きく
上回った。  香港大学民意研究計画センターは香港市民のアイデンティティーに
関する世論調査を実施した。 12月10日から16日に掛け、1,016人を対象に電話
調査が行われた。『香港人』と回答したのは42%。 『中国人』との回答は18%
となった。 

また、『香港人』『アジア人』『中華民族の一部』『世界市民』『中国人』
『中華人民共和国公民』というそれぞれの項目に対して、どれほどの帰属感を
感じるかを0〜100点で表現してもらったところ、『香港人』の平均得点は約80点と
前回調査を2点上回った。 その他、『アジア人』69.8点、『中華民族の一部』
65.9点、『世界市民』63.7点、『中国人』62点。『中華人民共和国国民』
54.4点となった。 

『中国人』『中華人民共和国国民』の平均点は、2008年の調査開始以来、過去最低
となった。

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