いじめの加害者に3年以下(最高で10年)の禁固刑が科される法案が2021年
12月1日、フランス下院を通過した。 政権与党「共和国前進(LREM)」だけ
でなく、右派共和党など野党も賛成し、この法案は今後、上院に送られ、
2022年2月に可決・成立する見通しとなった。06c8-l
ブルターニュのエルワン・バラント議員が起草したこの法案は、いじめ加害者に
3年以下の禁固刑または4万5千ユーロ(約600万円)の罰金を科すよう規定して
いる。 特に被害者が重傷を負ったり、自殺を図った場合には10年以下の
禁固刑が科される。 ブランケール国民教育相は、法案通過後の記者会見で、
「子どもたちの人生が台無しにされることは決して容認できない」とし、
「フランス共和国の価値観を実現する手段」と強調した。 また、ジャン・
ミッシェル・ブランカー教育大臣は、この法律が「共和国の価値観を強化する」
と述べた。

最近、国民教育省の調査で、小・中・高校生10人に1人、全国で70万人以上が
いじめを経験したことが分かった。 今年3月には、同じ学校の生徒に常習的な
暴力といじめを受けた14歳の少女が死に至る事件が発生し、10代の被疑者2名が
殺人容疑で逮捕された。 加害生徒らは、少女を暴行した後、死体をパリの
セーヌ川に遺棄し、フランス全土が衝撃を受けた。 マクロン大統領は先月18日、
「いじめを簡単に通報できるアプリを来年2月までに開発し、生徒のスマート
フォンやPCに設置する」と明らかにした。

ただし一部では、政府がこれまで対策を出したものの、この10年間いじめの
発生件数が減っていないとし、処罰を強化すればいいというものではないと
指摘する。 フランスの法は、13歳未満の児童を刑事未成年者と規定して
刑事処罰しない。 13~18歳の青少年は刑事処罰が可能だが、同じ犯罪を犯した
成人よりも処罰が軽い。

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2021年10月に発表されたケスデパーニュとeフランス協会の調査によると、
20%の子供がネットでのいじめに直面したことがあると答えており、そのうち、
51%が少女で平均年齢は13歳だった。

フランスの裁判所は2021年7月、反イスラム的な暴言をソーシャルメディアに
投稿した当時16歳の少女にオンライン上でいやがらせを行い、命を脅かした
11人の被告(全員が18歳以上)に4~6カ月の実刑判決を下していた。 裁判長は、
「ソーシャルネットワークは路上と同じだ。路上では許されないことは、
オンラインでも許されない」と述べた。



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