サラエヴォの旧市街から3番トラムに乗車して、トンネル博物館へと向かいます。
その道すがら、通称『スナイパー通り』を通りました。 この通りでは、内戦時、
女子供老人を含む、動く者全ての人間が射殺されました。 ボスニア側の説明に
よると、セルビア連邦軍が射殺したとの説明でありましたたが、セルビア連邦軍で
なくとも、そこまでやる必要性があったのか、いくら戦争とは言え、他の民族を
手当たり次第に殺戮しまくった旧ユーゴにおける内戦は、アメリカが介入して
来なければ、『民族浄化』まではエスカレートすることはなかったと思います。

【ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦】
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【サラエヴォ包囲網】
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上記の図は、サラエヴォ包囲の図と、肌色っぽい場所は、現在のスルプスカ
共和国の国土を表しています。 旧ユーゴでの内戦中、サラエヴォは、セルビア
連邦軍に完全に包囲されたため、サラエヴォ空港の真下にトンネルを掘り、物資を
輸送して、皆何とか生き延びました。 そのため、別名『希望のトンネル』と
呼ばれています。 このトンネルは、空港のすぐ隣にあるのではなく、空港
滑走路の真下にあり、そのうち25mのみが一般公開されています。

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元々、ユーゴスラヴィアでは、セルビア人、クロアチア人、ムスリム人、
スロヴェニア人、マケドニア人、アルバニア人、ハンガリー人が共存して
いましたが、北部にある経済力のあるクロアチアとスロヴェニアが、南部にある
マケドニアやボスニアとの経済格差に対して、不公平感の是正を求めて独立を
宣言しましたがが、これが戦争の始まりでした。 その後、セルビア連邦軍が
介入し、更に、アメリカを中心としたNATO軍が介入し、クロアチアと
スロヴェニアでは、内戦はそこまでは泥沼化しなかったものの、ここ
ボスニア・ヘルツェゴビナでは、宗教が全く異なる3民族が共存していたため、
内戦が泥沼化し、最終的には、セルビア人の共和国であるスルプスカ共和国が
ボスニア連邦からは完全に分離し、停戦となりました。 今でも、火種は
あるものの、今のところは、3民族が完全に住み分けを行うことで、平和が
保たれている状況です。

希望のトンネルとそこにある展示品は、実際に戦争で使われた物ばかり。
希望のトンネルは、現在は埋め立てられており、この25mのみが一般公開されて
います。 空港滑走路の真下を通っているため、恐らく、安全上の理由により、
埋め立てられたのだと思いますが、緊急物資を運ぶためとは言え、短期間で
この様なトンネルを掘るのは、至難の技だと思います。 しかも、天井が非常に
低いため、相当屈まないと頭がぶつかります。

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壁の銃弾は、当時のまま。 旧ユーゴの時代は、民族や宗教の違いを超えた
理想郷の様に言われていたサラエボも、最終的には、こんな有様になりました。
余りにも違い過ぎる場合は、諦めが付いて許せるものの、民族的に非常に似ていて、
かつ、思考回路が全く違うため、血みどろの戦争へと突入しました。 アメリカが
介入して来なければ、ここまで大規模な戦争にはならなかったと思います。
アメリカを中心とするNATO軍に対して、セルビアを身を挺して守ったのは、同じ
スラブの兄弟国家であるロシアだけでした。

サラエヴォ・トンネル博物館は、サラエボ空港の真下にあるため、帰りは空港を
見ながら、歩いて路面電車の駅へ行きました。 正確に言うと、ボスニア・
マルカの手持ちがゼロになったため、バスに乗れませんでしたw よって、帰り道の
ショッピングモールにあった、ロシアのズベルバンクでユーロからマルカへと
両替をしました。 旧ユーゴ諸国で一番メジャーな銀行は、ズベルバンクだと
思います。 尚、セルビア人のスルプスカ共和国は、サラエボに大きく食い込んで
いるため、この山を越えた向こう側はもうスルプスカ共和国です。

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再度、スナイパー通りを抜け、途中、西側報道陣が内戦時に最後の最後まで
立て篭って報道を続けたという『いわく付き』のホテルでおトイレを借りましたw
サラエボでは、セルビア連邦軍のことを余り良くは語られてはいませんでしたが、
私の場合は、セルビアやスルプスカ共和国側の状況を先に見て来てからボスニアに
やって来たため、一切その様には感じませんでした。 『真実はひとつだけ』と
良く語られているものの、見方によっては、真実はひとつだけではないため、
多角的に物事を見るべきです。 ムスリム人やクロアチア人から見た場合はそう
なのかも知れませんが、セルビア人から見た場合は、全く違うと思います。

この施設は、サラエヴォ市内からは、合計2時間近く掛かる施設ですが、
サラエヴォを訪れた際には、1回は絶対に見ておくべき施設です。

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