ブラック企業大賞企画委員会は2017年11月27日、厚労省記者会見場にて
今年1番のブラック企業を決める『ブラック企業大賞2017』のノミネート
企業を発表した。 結果は12月23日に発表される。 主な選定理由は
以下の通り。

【ブラック企業ノミネート理由】

1. ゼリア新薬工業株式会社
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ゼリア新薬工業は医療用医薬品、一般医薬品のほか「ヘパリーゼ」など健康食品の
製造販売を行う大手製薬会社である。 同社では2013年4月にMR(医薬情報
担当者)として入社した当時22歳の男性社員が、新人研修受講中の同年5月18日に
自殺した。 同社の新人研修は人材コンサルタント企業ビジネスグランドワークス
(以下、BGW)に一部委託されており、亡くなった男性はこのBGWの講師に
よって、かつて吃音だったことや、いじめを受けていたことを大勢の同期の前で
告白させられるなどした結果、「強い心理的負荷」を受け精神疾患を発症。 言動に
異常が見られるようになり、自宅に帰された帰宅途中で自ら命を絶った。 男性は
亡くなる前「研修報告書」に、同僚らにいじめ体験を知られた際のショックに
ついて書き記す一方、「本当の礼儀を身につけ先生(講師)を見返したい」など
とも書いていたが、それにBGWの講師は、「何バカな事を考えているの」
「いつまで天狗やっている」などとコメントしていた。 男性の自殺は2015年
5月に中央労働基準監督署が労災と認定。 今年8月には遺族がゼリア新薬とBGW、
BGWの講師らを相手取り、東京地裁に合計約1億500万円の損害賠償請求を提訴した
ことを明らかにした。

2. 株式会社いなげや
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株式会社いなげやは、関東地方を中心に、2017年6月末時点で137店舗を出店する
スーパーマーケットチェーンである。 同社では2014年5月25日、「いなげや」
志木柏町店(埼玉県志木市)のチーフだった男性社員(当時42歳)が勤務中に突然
呂律が回らなくなり救急搬送され入院。 同年6月2日には仕事に復帰したが、
同5日の夜に店の駐車場で倒れているところを客に発見され、意識が戻らないまま
同月21日に脳血栓により亡くなった。 男性の死は2016年6月にさいたま労働基準
監督署によって労災と認定され、今年4月に遺族側代理人が会見したことで本件の
存在が明らかになった。

代理人によると、亡くなった男性の発症前4か月前の時間外労働は96時間35分、
発症前の4カ月平均で75時間53分に到達。 ただし、この店ではタイムカード
打刻前・後のサービス残業が行われていたことが確認されており、上記以外にも
「日・時間が特定できない労働時間」があったと推定されている。 遺族は会社に
対し1億5000万円の損害賠償の他、謝罪、職場環境改善を求めているという。
尚、いなげやでは2003年10月にも従業員が過労自殺し、後に労災と認定されて
おり、過労による死者が出たのは2度目である。

3. パナソニック株式会社
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パナソニックは家電業界では国内首位の総合電機メーカーである。 同社では
2016年6月、パナソニックデバイスソリューション事業部の富山工場(富山県
砺波市)に勤務する40代の男性社員が自殺。 これが2017年2月に砺波労働
基準監督署により過労による自殺であったと認定された。 同労基署によれば、
男性の残業時間は2016年5月には100時間を超えていたという。

更に、この過労自殺を端緒として始まった調査により、2017年3月15日には法人
としてのパナソニックと幹部社員2人が、上記富山工場に勤務していた社員3人に
対し最長で月97~138時間の違法な長時間残業をさせたとして、労働基準法違反の
容疑で書類送検されている。 同社は従前、仕事と育児の両立支援でトップクラスの
実績を上げている企業として厚生労働省から「プラチナくるみん」の認定を受け
税制優遇措置も受けていたが、この書類送検を受けて厚労省から認定を外されて
いる。

尚、パナソニック側は「雇用関係がない」としているが、同社の福井市の工場に
勤務していた2次下請け会社の社員も2015年10月にクモ膜下出血により死亡して
おり、2017年1月に福井労基署により過労死と認定されている。

4. 新潟市民病院
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新潟市民病院は、1973年に設立され、「人間性豊かな医療人の育成を目指します」
「患者さんに信頼される、温もりのある医療を目指します」とうたう公立総合病院
である。 2016年1月、37歳女性研修医が、長時間勤務が続いたことで睡眠薬を
服用して自殺した。 女性の月平均残業時間は187時間、最も長い月で251時間
だった。 報道によると、女性が時間外労働を48時間として申告していたことから、
病院側は電子カルテの操作記録をもとに算出した残業時間を「…多くは医師としての
学習が目的で、労働時間に当たらない」と弁明したという。 亡くなる直前、
女性は、「気力がない」「病院に行きたくないし、人とも会いたくない」ともらし
始めたという。 女性の夫は、「病院による殺人に等しい」と語っている。
今年5月、女性の自殺は長時間労働による過労が原因として労災認定された。

5. 日本放送協会(NHK)
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日本放送協会は、放送法に基づき設立される放送事業を行う特殊法人である。
NHKでは、2013年7月、当時、31歳だった女性記者がうっ血性心不全で死亡した。
2014年、女性の死因は長時間労働による過労が原因であるとして労災認定された。
渋谷労基署によると、亡くなる直前の2013年6月下旬から7月下旬まで1カ月間の
時間外労働(残業)は159時間37分。 5月下旬からの1カ月間も146時間57分にも
のぼった。 尚、遺族側の調査では、亡くなる直前の残業時間は209時間とされて
いる。 労基署は2013年に実施された都議選と参院選の取材で「深夜に及ぶ業務や
十分な休日の確保もできない状況にあった」と認定し、「相当の疲労の蓄積、
恒常的な睡眠不足の状態であったことが推測される」としている。 当時、NHKは、
記者について、会社の外で働く時間が長く労働時間の算定が難しいため、あらかじめ
決まった一定時間を働いたとみなす「事業場外みなし労働時間制」を適用していた。
NHKは、今年10月、女性の過労死事件があったことを公表した。 遺族は、NHKの
労務管理に不備があったために過労死が発生したとして、「人災である」として
いる。

6. 株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西
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株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西は、「アリさんマークの
引越社」として全国で営業展開する引越による荷物の運搬等を業とする企業である。
引越社グループは、引越社関東所属の男性営業社員をシュレッダー係に配転したり、
懲戒解雇したしりした。 懲戒解雇においては、その理由を「罪状」などと記載して
男性の顔写真を入れた書類(罪状ペーパー)を、引越社グループの店舗に掲示する
などした。 更に、同社は同様の文面を全従業員に送る社内報にも掲載し送付した。
今年8月、東京都労働委員会はこれらの行為は、男性が労働組合(プレカリアート
ユニオン)に加入したことによるものであるとして、不当労働行為であると認定
した。 また、東京都労働委員会は、引越社グループが労組へ加入した従業員らに
対し、労組からの脱退を促す行為をしたとして、これも不当労働行為であると
認定した。

また、引越社グループでは、今年3月、「組合への勧誘は悪徳マルチ商法への勧誘が
本当の目的」との張り紙をした行為は不法行為であるとして、名古屋地裁により、
50万円の支払を命じられている。

7. 大成建設株式会社・三信建設工業株式会社

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大成建設株式会社は、我が国有数の大手総合建設会社である。 同社は、東京
オリンピック・パラリンピックで使用するメインスタジアム「新国立競技場」の
建設工事の元請け企業である。 三信建設工業株式会社は、特殊基礎土木工事業
(地盤注入工事、アンカー・斜面安定工事、地盤改良工事など)を業とする企業で、
「新国立競技場」建設において、大成建設から地盤改良工事を請け負った一次
下請け企業である。

今年3月、三信建設工業の新人男性社員(当時23歳)が自殺した。 10月、
新宿労働基準監督署は、男性の自殺は長時間労働による過労が原因の労災である
と認定した。 報道によると、男性が自殺する前の1カ月の残業は約190時間で
あったという。 この事件を機に、東京労働局は、「新国立競技場」の建設工事に
関わる約760社を調査した結果、37社で違法な時間外労働が確認され、新宿労基署が
是正勧告をした。

報道では、このうち、元請けや1次下請けの長時間労働が顕著で、労働局の担当者は
「施工管理者が多く、現場作業後のデスクワークで長くなる傾向がある」と指摘
しているという。 新宿労基署は、元請けの大成建設にも、入退場記録を提供する
など下請け会社に労働時間の適切な把握を促すよう求め、行政指導を行った。

8. 大和ハウス工業株式会社
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大和ハウス工業株式会社は国内最大手の総合住宅メーカーである。 2017年9月、
同社が埼玉西支社に営業職として勤務していた20代男性に違法な時間外労働をさせ、
川越労働基準監督署から同年6月29日付で是正勧告を受けていたことが、男性が
加盟する「ブラック企業ユニオン」の会見で明らかになった。

同社は2011年にも労働時間の管理に関して是正勧告を受けており、それ以降は
一定の時間になると消灯して社員を帰宅させるなどの長時間労働対策を実施
していた。 だが男性は、日中にモデルルームなどで住宅販売の営業をした後
にも資料作成など多量の業務を課されており、これをこなすためにやむなく
住宅展示場の事務所や営業車内で隠れて深夜まで残業していた。 労使協定で
定められた繁忙期の残業時間上限が月80時間であるところ、男性の残業時間は
2015年5月には月109時間に到達。 長時間労働の末うつ病になった男性は、
2016年5月に退職を余儀なくされていた。

9. ヤマト運輸株式会社
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ヤマト運輸株式会社は国内最大手の宅配便事業者である。 同社は、労働基準法への
違反例が過去1年あまりに限ってみても数多く報じられている。 2016年12月には、
神奈川平川町支店のセールスドライバー(SD)に対して残業代の未払いなどが
あったとして横浜北労働基準監督署から是正勧告を受けた他、2017年5月には
パート従業員の勤務時間改ざんと賃金の未払いがあったとして、同社西宮支店に
西宮労働基準監督署から是正勧告を受けている。 更に、2017年9月20日には、
博多北支店のSDに対し労使協定で定めた残業時間上限(1カ月95時間)を超える
月102時間の残業を違法にさせていたとして、法人としての同社と、同支店の幹部
社員2人が労働基準法違反の疑いで福岡地検に書類送検されている。

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