情報難民とは、マスメディアに対して批判的で、インターネット上の情報は無批判で
受け入れてしまう、情報リテラシーの低い人を指している。 マスメディアの言説を
拒絶することで自分に批評力があると思い込み、インターネット上に流れる情報、
特にマスメディアの言説に対して否定的な情報については、その信憑性を吟味する
ことなく受け入れてしまうため、非常に情報の偏りが大きい。

人は全く未知のものに出会うことで、好奇心が刺激され成長する。 また、多くの
進化とは、一般的に全く異なる分野同士を掛け合わせることで生まれる。 IT化が
急速に進み、インターネットによる情報の偏りが進むということは、自分が知りたい
と思うことだけを表示する、つまり、未知との出会いが薄れるということになる。

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近年、テレビや新聞等に代表されるマスメディアの劣化や偏りが激しく、ネット検索
のみに頼って情報収集を行う人が急増しているのだが、ネット検索だけでは、自分が
知らないということを知らないという状況に陥りやすくなる。 この情報の分断化、
あるいは、孤立化によって、個人の思考が大きく偏り、個人が知らないところで
情報の歪みが日々生じている。 ネット検索によって、自分に未知のものがある
ということになかなか気付くことが出来なくなる状態を『パーソナライズ化』と
呼ぶ。

フィルタリングされた情報は、人の志向性を強化する。 例えば、保守政党が
好きな人には、保守政党を美化するような記事ばかりが表示されるようになり、
更に保守政党が好きになる。 保守政党がより好きになると、以前にも増して、
更に保守政党を美化する記事ばかりが表示される。 このようなフィルタリングに
よって、個人の志向性が日々強化されて行ってしまう。

インターネットの世界が『パーソナライズ化』によって細分化されてしまうと、
民主主義の土台が危うくなる。 保守政党を支持する人には、保守政党の記事が
流れ、革新政党を支持する人には革新政党の記事が流れる。 こういったことが
起きると、共通の議論の土台がなくなってしまう。

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更に怖いのが、Google や Face Book や Amazon がフィルターを調整出来る権限を
持っているところで、閲覧履歴などにより、個々人の興味・関心・行動に合わせて
好みそうな情報を自動的に提供されているところにある。 『キャッシュ』という
言葉を聞いた事があると思うのだが、これらの閲覧履歴は、悪用しようと思えば、
いくらでも出来るものであり、情報のコントロールにも使用することが出来る。

様々なフィルタリングにより、人の志向性を容易く変化させることが可能なので
ある。 この思考性は、強化することも変化させることも可能であり、
『朱に交われば赤くなる』とは、そういった状況を正に指している。

これらのバイアスは、必ずしもインターネットの世界だけに限られている訳では
なく、テレビ、新聞などにも実は、かなりのバイアスが掛かっており、世論を形成
するのに非常に大きな力を発揮している。 しかし、テレビや新聞には、報道倫理
などがあり、あからさまなバイアスを掛けると社会的な批判にさらされてしまう。
その一方で、インターネット企業のフィルタリングは、非常に気付かれにくく、
そのような批判が起きにくい。

SNS

また、SNSは特にそうだが、皆が使っているということが大きな力になるため、
一つの企業に力が集中してしまうことが多く、そのような企業が暴走した時、手が
付けくい。 そして、インターネットでのフィルタリングはそれぞれの個人個人を
分断することが出来る。

バイアスによる情報操作を避けるという意味でも、フィルタリングのある世界で
日々過ごしているということを日頃から自覚することが重要となる。 そして、
情報収集はネット検索ばかりには頼らず、意図的に自分とは異なる世界の人たちに
話を聞くなどの多角的な視野を持つことが非常に大切となる。 インターネットの
世界は、ウソだらけだという自覚を持ってネットサーフィンをするべきである。

【お勧めの一冊】


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