ハンガリー語(自称はマジャール語)は、ウラル語族のフィン・ウゴル語派に
属している言語で、同じ語族には、北欧で話されているフィンランド語や
エストア語などがあります。 ウラル諸語の中でも系統的にハンガリー語に
一番近い言語は、ロシアのシベリア地方で話されているウゴル語派の
ハンティ語とマンシ語となっている。 しかし、同じ語派の仲間とは言う
ものの、語彙も文法もかなり違っており、今では互いに全く通じない。

19世紀末には、ハンガリー語の系統をめぐり、『ウゴル・トルコ語戦争』と
呼ばれる大論争が起きた。 ハンガリー語は、フィン・ウゴル語と同系統だと
主張する学者達との間で激しい議論が戦わされた。

この背景には、ハンガリー語の語彙の中に少なくない数のチュルク系の語彙が
含まれていること、母音調和という音現象があること、文中での文法関係を
語に後続する自辞によって表すこと(膠着語の特徴)など、チュルク語派との
共通性があった。 現在では、チュルク語系の語彙は、ハンガリー語の話者が
かつてウラル山脈の辺りから中央アジアを経て、現在のハンガリーの地に移動
する過程で借用されたものとされている。



このように、周辺諸国の言語(インド・ヨーロッパ語族に属する)とは系統を
異にすることから、ハンガリー語は、ヨーロッパの中にあって一風変わった
言語とみなされている。 他の言語にあは余り見られない現象のひとつに、
動詞の定・不定活用がある。 ハンガリー語では動詞が主語の単数・複数と
人称だけではなく、目的語が定まっているか(定活用)、そうでないか
(不定活用)によって、異なった変化をする。

例えば、何でもいいのでペンを1本探している場合は、keres-ek(私は探す=
不定活用)、特定のペンを探している場合には、keres-em(私は探す=定活用)
のように使い分けなければならない。

つまり、ハンガリー語では、動詞の活用語尾の中に主語だけではなく、目的語の
情報も含まれている。 この現象は、ウラル諸語の中でも珍しいもので、
フィンランド語やエストニア語には見られない。 定冠詞の用法とあいまって、
日本語を母国語とする者にとっては、習得が難しい言語のひとつとされている。

ハンガリー語の話者の頭の中では、いつも物事の定・不定が認識されていると
言って良い。 この定・不定の区別に加えて重要なのが、人称の区別で、
ハンガリー語では動詞だけではなく、名詞や後置詞、不定詞も人称変化をする。

europesvg

【ハンガリー語の今】
言語は時間と共に常に変化しているが、これを言葉の乱れと非難する人も居れば、
自然な現象だと認める人も居る。 ハンガリー語の例としては、動詞の中に
ik 動詞と呼ばれるタイプのものがあり、変化の基となる語幹が -ik で終わっている
動詞をこのように呼んで、他の動詞とは区別している。 その理由は、 ik 動詞は
普通の動詞とは少し違う活用をするからである。

tanul-ok(私は勉強する) lak-om(私は住んでいる)
tanul-sz(私は勉強する) lak-sz(私は住んでいる)
tanul(彼/彼女は勉強する) lak-ik(彼/彼女は勉強する)

上の例からも分かるように、 ik 動詞の lak-ik(住んでいる)の1人称・単数・
現在形では、規範的な文法に従えば、lak-om となるが、現在では、lak-ok という
形も良く耳にする。 これは、ik 動詞と普通動詞の区別が失われつつある事を
表しているが、こうした傾向は、既に17世紀に始まっており、かつでは仮定法や
命令形でも存在していた両者の区別は現在では殆んど残っていない。

この他にも、不規則変化をする名詞が不規則的な変化形を取るようになるなど、
類似の現象がいくつか見られる。ハンガリー語では、日常的に使用頻度が高い
語の中に不規則変化をするものが多いため、こうした傾向は学習者にとっては
ことばの乱れどころか、かえって規則的になっているため、歓迎されるかも
知れない。

【お勧めの一冊】


>>トップページに戻る



クリックをお願いします☆
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ
にほんブログ村