ブルガリア語は、スラヴ語の1つで、マケドニア語、セルビア語、
クロアチア語、スロヴェニア語と共に南スラヴ語群を形成している。 
の中でもマケドニア語とは双子のように非常に良く似ている。

ブルガリア語の母音は6つで、а ъ и е о у となっており、奥舌の ъ を除き、
日本語の母音に極めて近い発音となっている。 一方、子音は、21個あり、
子音で終わったり、また、語中に子音が重なったりする単語が多く、日本人に
とっては、決して発音し易いものではない。

bulgar

ブルガリア語は、一言で言うと、恐らく、語尾変化が非常に多い言語で、他の
スラヴ語と共通の特徴のひとつとして、名詞には性があり、活用の際、性の
タイプによって形が変わるということが挙げられる。 名詞は全て男性、女性、
中性の何れかに属し、また、名詞が修飾される場合は、修飾する語も名詞の性に
合わせて形を変えて行く。

一方、ブルガリア語は、他のスラヴ語に存在しない特徴も沢山持っており、例えば、
格変化が失われて、その代わりに前置詞が使われている。 また、限定を表す
接尾辞が名詞に付き、定・不定というカテゴリーを表している。 これらの
非スラヴ的特徴の背景には、バルカン半島で話される言語同士の接触、いわゆる、
バルカン言語連合という減少の影響があると言われている。

また、他のスラヴ語では失われているが、ブルガリア語とマケドニア語では今でも
現存している不定過去(現在完了)という時制は、機能が強化され、その結果、
モーダルなカテゴリーとしての『伝聞法』が出来ており、推量や伝聞、または、
驚異といった意味が表される。 例えば、雨が降ったことを目撃者として伝える
場合は、普通の完了過去валя を使うが、雨を目撃していない場合は、『雨が降った』
という事柄の情報源を明確にしなければならず、出来事を推量(воляло e
『雨が降ったようだ』)として伝えたり、第三者の情報による伝聞(воляло
『雨が振ったそうだ』)として伝えたりする。

ブルガリア語(とマケドニア語)のこの現象に関しては、非常に似た体系を持って
いるトルコ語の影響が指摘されているが、原因はハッキリしていない。



【ブルガリア語の今昔】
スラヴ民族がバルカン半島に住み着いたのは、5~6世紀頃だと言われており、
現在ブルガリア国が位置する地域のスラヴ民族は、当時その地域に住んでいた
トラキア人と7世紀ごろアルタイ山脈から移動して来たシュルク系の原ブルガリア人
と一緒になり、ブルガリアという国を築いた。 人数が最も多かったスラヴ人が
他の民族を支配し、自分達の言語を共通の言語として定めた。

9世紀には、キリロス・メトディウス兄弟が東方正教会のキリスト教の布教の
ために文字を創った。 その文字と共に、ブルガリア語の最古の形として知ら
れている古代教会スラヴ語は、他のスラヴ語圏でも文語として使われていたが、
12世紀からは、口語的要素を交えた中世ブルガリア語が使われるようになり、
古代教会スラヴ語と区別された。 その後、15世紀から19世紀の間、ブルガリアは、
オスマン・トルコ帝国の支配下に置かれ、トルコ語との接触によって、言語にも
様々な変化が生じた。 現在使われているブルガリア語の成立は、19世紀後半
から20世紀初頭に掛けての間と見られている。

ブルガリア語が話されているバルカン半島では、その地域の言語同士が接触し、
互いに影響し合って来た。 その結果、類型的には、全く異なる言語が同じ特徴を
持つようになった。 また、言語体系にもその影響が現れ、様々な隣国、および、
民族の言語と並んで、最も古い時代に接触していたトラキア人の言語からの単語や、
原ブルガリア人の言語からの単語、更に、隣国のトルコやギリシャなどからの
借用語まで、多数見られる。 現在は、コンピューターの普及に伴い、英語からの
外来語も増えている。



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