カタルーニャ語は、スペイン語、フランス語、ポルトガル語などと同じく
ロマンス語の1つで、その地理的位置を反映して、スペイン語とフランス語の
中間的な特徴を少なからず持っている。 まず、発音は、スペイン語、
フランス語の母音がそれぞれ5つ、16であるのに対し、カタルーニャ語の
母音は8つとなっている。 スペイン語と違い、曖昧母音 ə もあるが、
フランス語のような鼻母音はない。

語彙では、『食べる』は comer(西)、menjar(カ)、manger(仏)となるが、
『ビール』は、cerveza(西)、cervesa(カ)、bière(仏)となり、単語によって
西仏どちらかに似ていることが分かる。 文法に関しても同じで、英語のbe動詞に
あたるものは、スペイン語ではser と estar の2つがあり、フランス語では être
1つとなる。 スペイン語には見られない副詞的代名詞の hi、en があるのは、
フランス語に似ている。

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もちろん、カタルーニャ語独自の特徴もあり、スペイン語ともフランス語とも
異なり、カタルーニャ語は anar (行く)+不定詞で過去を表す。 このように
全体的には、お互いに近い関係にある3言語だが、それぞれの話者が初めて
出会って、自分達の言葉で話すと、ほとんど理解出来ないが、書けば理解度が
増す。

また、カタルーニャ語は隣接する大言語、スペイン語からの言語的干渉に常に
さらされている。 例えば、スペイン語で義務を表す tener(持つ)+que
(接続詞)という表現の影響で、本来カタルーニャ語にはない tenir+que+
不定詞という表現を使う人が少なくない。 このような例は、他にも少なくない。



【カタルーニャ語の今】
カタルーニャ語の言語人口は、約600万人で、デンマーク語、フィンランド語などを
上回っている。 カタルーニャ語の使用能力となると、それぞれの地域の歴史的
背景、政治・社会的現状により異なる。 バルセロナを中心とするカタルーニャ
自治州、マリョルカ島などのバレアレス諸島、アンドラでは高く、フランスや
イタリアに含まれる地域ではかなり低いと言える。

例えば、カタルーニャ自治州の場合、2003年の時点でカタルーニャ語を聞いて
理解出来る人は住民の97.4%、話すことが出来る人は84.7%、読むことが出来る
人は90.5%、書くことが出来る人は62.3%であった。 フランス領北カタルーニャ
では、2004年の時点でそれぞれ65.3%、37.1%、31.4%、10.6%となっている。

現存する最古のカタルーニャ語の文章は、11世紀のウルガニャー説教集で、その後、
中世に哲学者ラモン・リュイなどが出るに至って、文学語として確立された。
方言としては、大きく東部方言と西武方言に分けられる。 現在の標準
カタルーニャ語は、東部方言の中の中央方言(バルセロナ周辺の方言)に基づいて
定められている。

カタルーニャ語は長い歴史の中で、何度も存亡の危機を経験したが、中でも最大の
危機はスペイン内戦(1936-39)後に成立したフランコ独裁政権による弾圧だった。
 しかし、それも何とかしのぎ、フランコ体制後に制定された現行の民主的憲法
(1978年制定)とカタルーニャの自治憲章に基づき、現在カタルーニャ語は、
スペイン語と共に自治州の公用語とされている。



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