ソ連時代の名残り、「ダーチャ」とは、日本語では「別荘」と訳されることが
多いのだが、正確には、「ソ連時代に国から無償で提供された郊外にある
小屋付きの家庭菜園」。 その小屋は主に自作であるため、単なる掘っ立て
小屋レベルから、豪邸レベルまで、そのふり幅は千差万別だが、その小屋には、
大体サウナが付いている事が多いのと、都市部に住んでいる人間は、週末になると
皆「いも掘り」に出掛けるため、モスクワでも週末は「いも掘り渋滞」が
発生します。
ロシアは、完全な社会主義国であったため、この「ダーチャ」の他にも、
全国民に対して、マンションも無償で提供されていました。 ロシアは、
ソ連崩壊以降、2度の大規模な経済危機に見舞われていますが、その際にも、
国民は皆この「ダーチャ」で完全に自給自足をしており、かつ、マンションも
持ち家であるため、家賃が掛からず、無事経済危機を乗り切りました。
ソ連時代は、ダーチャもマンションも売ることが禁じられていたため、引越しを
する場合は、物々交換をしていましたが、最近は皆普通に売買するようになった
ため、現在、ロシアでは建設ラッシュです。 当時、国から無償で提供された
マンションは、25年前ぐらいまでは、モスクワでもせいぜい200万円程度の
価値しかありませんでしたが、現在は、概ね1億円程度ぐらいまで値上がり
しているとか。
日本では中国のことを「社会主義」と言いますが、中国は半分資本主義であるため、
完全な社会主義ではありません。 因みに、ロシアでは、未開拓地を耕して、
5年間そこに住むと、その土地を国から貰えるそうです。
国から、このような手厚い生活基盤を支給されるロシアと、住宅事情が最悪な
日本とでは、根本的な考え方に差が生じても、不思議ではないと思います。